恐怖・呪い面〜実話都市伝説

山口敏太郎の、幼少期から今に至るまでの、不思議・怪奇な体験が描かれる。

小学校の低学年の頃、死体を発見したことがある。
汚水の中に浮かぶ青白い肢体。
(綺麗だなぁ)
何故かそう思った。

冒頭からこれである。
さすが自分のことビンタロウなどと名乗るやつは違う。
その他も淡々と、体験したことについて語る。
便器に手首が浮いている。銀色の巨人を目撃する。UFOももちろん見る。
河原で犬の腐乱死体を見つけたときなんかは、

やった!廃絶したはずの犬神の儀式、健在やないかぁ

などと言って大喜びだ。
だが一番良かったのは、赤い女の霊だ。

困惑した私と佐川は、意を決して女に向かって突進した。いつものことなのだ。
悪戯などが発覚すると大人相手に逃げてはいけない。逆に思い切り向かっていくと大人が驚いてしまい、退路が開けることが多かった。

そうは言っても、幽霊やで…ビンちゃん…。
赤い服の女の霊。オーソドックスな霊ではあるが
リアリティがあり、良かった。
しかし女の幽霊ってものは、こうも赤い服を着ているものなのか。

個人的に、山口敏太郎のしゃべり声がすきで、
テレビに出ていると、つい耳をかたむける。
そんな印象しかなかったのだが、
大変おもしろ愉快な本だった。
ただの声が良い面白いおっさん、というだけでは無いようだ。
表紙をよく見ると、左の真ん中に小さく女の顔があるのが、愉快。
呪い面もピッカーと光っており、インパクトのある良い表紙だ。