暗闇に落ちる様にこのまま夢を

ワクチンの副反応で熱が出て一日中眠っていた
眠ったり起きたり

見た夢はこうだ

薄い黄土色とくすんだ緑色
田舎の道 たくさんの石像 オリエンタルな顔や印を結んだ手など 私の3倍くらいはある巨大な灰色
赤い紐で出来た道、川にかかる赤い橋
白く青い 大きな鳥居
田んぼを横切る斜めの道
「出口」に向かって、私は迷わずスラスラと歩いていた。
迷わず行けるのはかつてここを同じように誰かと夢の中で通ったからだ
あれは、今日迷わない為の練習だったのだ。


よるはすっかりよくなり、お夕飯にフォーを食べた。
フォーというのはベトナムのひらべったい麺のお料理のこと。
中学生のとき、図書館で知り合ったお姉さんに フォーって知ってるか、と聞かれ 知らないと答えると吉祥寺のカフェに連れて行かれてそこで初めてそれを食べた。
「あれ、今日はフォー出してないんすか」「今日はないんですけど、食べたいなら作りますよ」
お姉さんには色々なことを教えてもらった。好きそうだといってICCにつれて行ってくれたり、知らない漫画を貸してもらったりした。何でもない無印良品のトートバッグを愛用していて、そこから画材が何でも出てきた。それがなんだか格好良くて私も真似して無印良品でなんでもないトートバッグを買った。
絵が上手くて、口調がすこし荒くて、例えるならば空条徐倫のような格好良さがあった。
絵を描いてくれとせがむといつも筆ペンでスラスラと自由帳に知らないキャラを描いてくれた。
カプコンが好きで、レイレイモリガンの絵を描いてくれたけど当時の私はそれがなんのキャラクターなのかさっぱり分からなかった。
わからないけど、“カプコン”ってなんかカッコイイ!っと中学生の私は思った。