悲しい世界を浄めるように街角で微笑って

そんなわけで昨日は一日朝から出て映画を観ていた。
神保町は久しぶりにゆっくりとめぐったが、欲しい本があまりなかった。
探している雑誌はまったくなかった。
夢野書店へ行ったら何かの番組を収録していた。
レジのあたりでずっと店主と芸人が話をしていたのでお会計ができず、しばらく狭い店内をうろうろしていた。
同じくウロウロしているおっちゃんが店員さんに「すみません、もう少しで終わりますんで」と、両手いっぱいに持っている本を預かってもらっていた。
「あれ、観たか?アンジャッシュおるで」とその天然パーマのおっちゃんに言われ、私はレジの方を観るふりをして、わからなかったと伝えた。
なぜならそれはアンジャッシュではなくインパルスの板倉だったので。
「仕事サボって来とんねん、はよ終わらんかなあ」
「おっちゃん家は漫画たくさんあんねん、なんまん冊あんねん、もう家に入りきらんから今度もう一軒建てたろ思って」
「何がすきなの?やおい?違うの?へえ、めずらしいね、ここに来るんはおっちゃんみたいな変な見た目のやつばっかりやで。おっちゃんはな、妖怪とかホラーとかがすきやねん、5歳のときから怪奇の虜や」
水木しげるのマンガ家にあんの?なんで?」「ああ、分かるでその気持ち。おっちゃんも家にある本、2割しか読んでへんわー。でもそんときは読みたい思って買うんやな」

映画は大変素晴らしかった。
興奮して一日変なテンションになってしまった。
髪を切りたいのだったということを忘れていたことを眠る前に思い出した。
シルクロードについて考えたが、考えるほどシルクロードについて私は何も知らない。

そういった1日だった。