水銀の櫂

入り口をふさぐ
目に見える物がすべて
遠くにしかみえない
曖昧な定義

頭痛が痛い、
永遠の死。

忘れたような気がする
言葉は
永遠の死

純粋な水
昏睡を知る
泳ぐと遠いが
最も近道
後ろも
横も
漕げない
銀の櫂

私の
死の理由になって欲しかった

夜と
夜の間の時間
博物館の夢
睡蓮 廊下 残骸
赤茶色の壁
あけてもないのに
窓を閉める
音がする

みんな忘れてしまった
誰かが死んだこと
誰が
誰でもいいから
死んだことにするんだ

そしたらきっと
この水死体が
誰の持ち主か分かる
きっともう死んでいて
使い物にならない