今は罪の数を数えるように繰り返す

AvelCain VS えんそく ツーマン『This is a despair』

06月28日 池袋EDGE


・えんそく
幕が開くと真ん中に、一枚の白い紙が天井から吊るされている。
ぶうさんがお立ち台の定位置につくと、ちょうど顔の位置に白い紙が来る。
私は、ああ今日はぶうさんの顔を観なくて済むのだ、と瞬時に思ってしまった。思ってしまった…。
「おいこれまた絶望だろ!」と言って早々にはがしてしまった。
何も書かれていない紙に向かって「むしろ絶望じゃないのかよっ!!!」
ミドさんからペンを受け取る。びりびりするペンに地味に驚くぶうさん。
「そういうのはプライベートでやれよ!!!これじゃねえよ!!いつものくれよ!」
クラオカさんとミドさんのニヤニヤ顔がほほえましかった。
そしていつものピンクのペン。ペンで白い紙に書きなぐる。「明日」という文字。
「ペンが薄くて!明日が見えない!」
ペンで始まった。勢いよく私はペン!って叫んでいたけどまだまだ足りない。
机上は頚動脈を掻っ切る運動。と、手首も掻っ切ってた。
ゴードンでもまだそんなんじゃないだろと言われてしまう。もっと顔をつくれ、とのこと。
私はまだぼんやりしてた。

MCで良かったのは、「アベルとえんそくは正反対のバンドで反するけどきっとそれくらい反対だったら何か感じるものがあるかもしれないね」というようなことおっしゃっていて。正反対って言ってて良かった。
アベルカインの曲を練習してきました、と言ってかっこつけタイムに入るぶうさん。
「名前が…かっこいいと思って……月-MOON-…」お客「クスクス」
で、イントロ始まって、うっとりタイム入るかと思いきやいつもの
「つきつきつきつき!」頭の先からつきの雨!!!うれしかった!すごく良かった。
なるほどって思ってうれしかった。全力でつきつきした。すごくドキドキしていた。
「そのつき!じゃねえよ!」と言われたメンバーたち「だってつき!って言ったじゃん!つきだろ!つき!」
ぶうさんが悪いみたいな空気になって「あやまれ!あやまれ!とんだ茶番だよ!」「…じゃあ謝ります、懺悔」
アベルカインの曲。素晴らしい流れ。いや素晴らしくないんだけど笑、素晴らしい流れ!
懺悔という曲を歌っているぶうさんが心底格好良くて…「10年間やってきてこんな喉の使い方は初めてしたよ」
アベルのお客さんはなんて呼ばれてんの?…しもべ?!しもべっていうの?!」
「ここ数日業君の歌ばっかりきいて、ここにいる誰よりも俺はしもべだった」
それでも私そのときもまだすごく不安でまただめになりそうだったからもうめいっぱい頭を振った。アベルカインありがとうって思った。頭を振るしかなかった。
バイクDE百鬼夜行はエッジでやるのがすきなのかな、前もやった気がする。
段差あるとこでやった方が良いよね、見せつけるのには。と私も思う。
「君たちはステージを観なくてよろしい、今度は俺が観るばん。」と言っていた。うーん、そうだね。
今日はステージをなるたけ観なくて済むセトリばっかだねーって思った。うん。ちょっと助かった。
墓地がすっごくうれしかった。あれが無かったら私は「負け」ていたと思う。
あそこですべてをつぎ込んだ。ありったけの、ありあまる力を出して楽しんだ。ステージなんて一切見えなかった。私はとても楽しかった。棺桶を叩いていた。ああ、私は今棺桶を叩いているなあって思いながら叩いていて、その感じが良かった。
一人ぼっちの墓地からひたすら棺桶叩いてたよ。誰も開けてくんないんじゃなくて自分で開けなきゃいけないんだって。今はそれがとても億劫なんだけど。

アリスがAなのがとてもうれしかった。Bばかり歌っていたからか、歌詞を間違えていた。アリスを間違えるところは初めてみたような気がする。語り部分は大体CDと同じだった。「世界は、誰かの、夢なんだ」と力強く歌ってくださっていた。

私はずっと、ライヴ前にもらった「負けないでください」って言葉を、ずっとずっと反芻していた。
今日だけは負けてはいけなくて。でも半分だめだったから気が狂いながらも最後棺桶を叩けて良かったです。
負けはしなかったけれど、勝ちもしなかったように思う。
「負けないでください」ってせっかく言ってくれたのになあってちょっと泣きそうだった。でも決して負けてはいない。負けてはいないからな。
「 」は私にとってとても特別すぎて、うれしいのと気が狂いそうなのとで発狂しそうだった。


・AvelCain
転換時のSEがお経だったので、とても心が落ち着いた。

ひととひとの隙間からみえるカルマさんはTシャツを着ていたから、
ぼんやりみながら、ああTシャツか…と思ってすごくがっかりした。最初とてもぼんやりしてしまった。
ぼんやりするのもよくないと思って、全力で参加しようって決めてから全力で参加した。知らないけれどノリがつかみやすくて良かった。失礼はしたくありませんから。
カルマさん「ぶうさんがさっき歌ってくださって…歌詞も完璧で…と思ったんだけどさ」床からカンペをはがしながら「これ…みて、ひどいでしょ、英語にも漢字にも全部ふりがな振ってあるの、小学生でしょ」はいありがとうございます。
冷静になりながら頭を振るのが面白かった。早いスパンの振り方と、あと早い折り畳みも綺麗で。普段しないから良かった。独特な手の形の拳が印象的。折り畳みの角度や頭の振り上げに入るまでのリズム。私は「知らないもの」に触れるのがすきだ。頭を振るたびに違うにおいがする。隣の人の手や前のひとの尻がどんどん当たる。その感じがすきだ。となりのひとは最後ありがとうございましたって言ってくださったので、ここでの私は「勝った」。他バンギャに「ありがとうございました」と言わせるのは勝った証拠なんだよ。
私は半ば狂ったように頭を振り乱していた。頭を振り足りないと思って。2時間ほどしか寝ていないこの身体を全部消費したくて。
気持ちは良かったがおもしろかったかと言われたらなんともなかった。
私はえんそくじゃないと驚くほど何も感じない。

お友達が撮影会当たっていたので良かったねえと思った。私も合同チェキはいっこだけ買ってみたけど、クラオカルマで、大変良かったから、お友達にあげた。大切にしてくれ。

これで消える 人の苦しみも

不器用な振りして器用に生きてるやつヘドが出る
世界のどこにも自分はいないけどそんなの当たり前だからそれで良いんだ。
「何も無い」ってどういうことか知っているか。

世界ってのは驚くほど簡単に壊れるということを知らないんだろう。
作る方がずっと難しい。崩れるのは一瞬。
もう何度も観ているはずだ。知っているはずなのに知らない振りをしているのだ。
当たり前だと思わないことだ。こなさないことだ。
当たり前を当たり前だと思わないことだ。

でも、どうすることも出来ない。世界のどこにも自分は存在していない。
生まれたときから私はどこにもいない。
存在しないものを拾うことなど誰にも出来ない。

平凡だから踊るしかない。