私のいた場所

私のいた場所

私のいた場所

どこかの誰かの一生。
終わりまで。
家に誰かがいる。キャベツから娘が生まれる。かん違いの海。カッテージチーズのかたまりになって死んでいく赤ん坊。大切なラジオ。大切なテープレコーダー。
部屋に積まれた、わけのわからない塊。

「私の名前はもうすぐ油絵具で鉄の板に書かれて、地面に小さく作った山に突き刺されることになってるの。そうしたら私はそれを読んで自分の名前を知るのよ。絵具の缶も、まっさらな板ももう準備できてる。でもそれがわかったいるのは私だけで、他の人たちはわかってない。夫も、夫の愛人も、子供たちもわかってないの。なんて空しい!」

どこかの誰かがこちらとあちらの境目にいて
それを私たちに教えてくれる。