有毒花
- 作者: 我妻俊樹
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2013/02/28
- メディア: 文庫
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いわば地図の隅のほうの余白に、人がかつて一度訪ねただけの儚い区画を書き足すようなことです。
怪談の中で、我妻俊樹の怪談が最もすきである。
やはり、正体不明なものが一番こわいですよ。
■いぬ
「おまえをたべるのはかんたんなことだろうな」
ひらがななところが良い。
いぬというもの自体が得体の知れないものだと私は思っている。
■穴
穴から右目が覗いている。
子供の子供らしさがすき。
■帽子
黄色い帽子の子供。
因果関係、というか何もかもまったくわからないもの。
そういう怪談はすき。
■タイガー
「黒い横縞がまるでテレビの走査線のように、顔の上でざわざわと動いていた。」
■仏間
死んだ父親の夢。
我妻俊樹の書く夢の話は、夢感が素晴らしく的確。
すごくすき。
■顔
正体不明の電話が来る。
こいつはたまらん。
な、何が起きているのかさっぱりわからねえ。
■心の花
美しく不気味で儚い花言葉。
切ない。